文書作成日:2025/10/07
今年度は過去最大規模での最低賃金の引き上げが行われることになりました。厚生労働省では、事業場内の最低賃金の引上げを行う中小企業を支援するために、業務改善助成金の拡充を行っています。以下ではこの内容をとり上げます。
[1]業務改善助成金とは
業務改善助成金とは、生産性向上に資する設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行い、事業場内最低賃金(※)を一定額(各コースに定める金額)以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部が助成されるものです。
※事業場内最低賃金とは、事業場でもっとも低い時給のことを言い、地域別最低賃金と同じように計算します。
[2]9月5日から拡充内容
業務改善助成金は、9月5日から以下の拡充が行われ、使いやすくなっています。
(1)対象事業場の拡大
この助成金は従来、事業所内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内の事業所が対象となっていましたが、9月5日より対象が拡大され、事業場内最低賃金が改定後の地域別最低賃金額未満までの事業所が対象となりました。例えば、改定前の地域別最低賃金が1,000円で、改定後の地域別最低賃金が1,063円の場合、以前は、事業所内最低賃金が1,000円から1,050円までの事業所が対象でしたが、事業所内最低賃金が1,051円から1,062円までの事業所も対象となります。
(2)手続きの簡略化
これまでは事前に賃金引上げ計画を作成・提出した上での助成金申請とされていましたが、9月5日から2025年度の該当する地域の最低賃金改定日の前日までに賃金の引上げを実施していれば、賃金引上げ計画の提出は不要となりました。
最低賃金引き上げに関しては、今回とり上げた業務改善助成金以外にも、中小企業庁では、ものづくり補助金、IT補助金、中小企業省力化投資補助金(一般型)について、要件の緩和や審査における優遇措置が行われています。また、各都道府県においても、独自の支援策を設けているところがあり、今後、設けるような動きも出てくるでしょう。最新情報を確認ながら、早めに対策を検討しましょう。
■参考リンク
厚生労働省「業務改善助成金」
厚生労働省「最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援事業」
経済産業省「最低賃金引上げに対応する中小企業・小規模事業者への支援策を公表します」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
- 改めて確認しておきたい健康診断実施後の対応2025/09/30
- 異例づくしとなった2025年度の地域別最低賃金の改定2025/09/23
- 10月1日より創設される教育訓練休暇給付金2025/09/16
- 変更となる19歳以上23歳未満の健康保険の被扶養者要件2025/09/09
- 2024年度の労基署監督指導における賃金不払事案金額は172億円2025/09/02
- 長時間労働が疑われる事業場への監督指導結果2025/08/26
- 40.5%まで上昇した男性の育児休業取得率2025/08/19
- 年収130万円の壁に対応したキャリアアップ助成金の新設コース2025/08/12
- スポットワークを利用する際の注意点2025/08/05
- 1,000件超となった精神障害の労災支給決定件数2025/07/29
- 従業員の自宅に届く協会けんぽの資格確認書2025/07/22
- 重要度が増す仕事と育児・介護の両立に関する個別周知等2025/07/15
- 今後、対応が必要となるカスハラ対策と就活セクハラ対策2025/07/08
- 高校生をアルバイトとして雇用する際の注意点2025/07/01
- 10月施行の改正育児・介護休業法「柔軟な働き方を実現するための措置」への対応2025/06/24
- 4年連続増加となった休業4日以上の死傷者数2025/06/17
- 見直しが濃厚となった大学生の健康保険の扶養年収基準2025/06/10
- 改正労働安全衛生法の成立と7月から始まる全国安全週間2025/06/03
- 腰痛の労災認定の考え方2025/05/27
- 不妊治療と仕事との両立の職場づくりマニュアルと助成金2025/05/20
- 厚生労働省による業種別カスタマーハラスメント対策の取組支援2025/05/13
- 6月より義務化される新たな熱中症対策2025/05/06
- 給与が「〇〇pay」等のデジタルで受け取れるようになる賃金のデジタル払い2025/04/29
- 割増賃金の基礎となる賃金と最低賃金の対象となる賃金の違い2025/04/22
- 2025年4月より短縮された雇用保険の基本手当を受給できるまでの給付制限期間2025/04/15
- 支給対象者の範囲や助成額が大幅変更となるキャリアアップ助成金2025/04/08
- 2025年度の雇用保険料率と賃金の考え方2025/04/01
- 4月に創設される育児時短就業給付金2025/03/25
- 3月分以降の協会けんぽの健康保険料率・介護保険料率2025/03/18
- 3歳未満の子を養育する従業員が利用できる年金額計算の特例2025/03/11
- 36協定を締結する際の注意点2025/03/04
- 4月から始まる出生後休業支援給付金2025/02/25
- 民間企業の障害者実雇用率は過去最高の2.41%に上昇2025/02/18
- ストレスチェックの概要と活用2025/02/11
- 企業の年間休日日数の平均は過去最高の112.1日に2025/02/04
- 65歳以上定年企業は全体の32.6%2025/01/28
- 2024年12月より拡充された両立支援等助成金2025/01/21
- 社会保険の2つの年収の壁2025/01/14
- 2025年1月20日から始まる退職者のマイナポータルに離職票を送付するサービス2025/01/07
- 今後数年のうちに施行される人事労務関連の法令改正2024/12/31
- 2025年4月1日から支給率が低下する高年齢雇用継続給付2024/12/24
- 健康保険 資格確認書と資格情報のお知らせの再交付手続き2024/12/17
- 長時間労働者への実施が求められる医師の面接指導2024/12/10
- 36協定の限度時間を超えて時間外労働をさせる際の注意点2024/12/03
- 次世代法における一般事業主行動計画の策定等と改正2024/11/26
- 改めて確認したい労働時間の取り扱い2024/11/19
- 12月2日から変わる社会保険の資格取得手続き2024/11/12
- 自転車の危険運転に対する罰則の創設とその対応2024/11/05
- 今年も11月に実施される過重労働解消キャンペーン2024/10/29
- 2024年10月より支給要件が見直しとなった特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)2024/10/22
- 厚生労働省調査からみる男女別の離職理由2024/10/15